2024.06.08 第18回(令和6年度)

サンプルイメージ特 別 賞

【受賞者】

神奈川県立歴史博物館「特別展:地図最前線-紙の地図からデジタルマップへ-」

【受賞理由】

 神奈川県立歴史博物館は,2022年7月16日から同年9月25日にかけ,「特別展:地図最前線-紙の地図からデジタルマップヘ-」を開催した。近代測量から現代,さらに未来のデジタル地図までを体系的に展示した特別展は,期間中の多数の参観者を集め,地図に関する興味関心を高めることに貢献した。特に,地図印刷技術の転換期に当たる19世紀後半から20世紀初頭に活躍した岩橋教章・章山親子の活動に着目し,近代印刷技術と地図の発展を関連付けた展示は,地図学史に対して新たな知見を提供した。また,鳥瞰図絵師・吉田初三郎が描いた神奈川県内の地図を展示することで,東京郊外に当たる神奈川県の観光地化を地図表現から考察した展示であった。さらに,芝浦製作所の技術者で水力発電開発のために地図を愛用した岸敬二郎の野帳や地図を展示することで,地図が有する近代化への貢献を示したことは,大きな成果であった。
 2カ月以上にわたる期間中には,記念講演会「近代日本における鳥瞰図の系譜」,連続講座「地図を使った人たち」,大人向けワークショップ「デジタル鳥瞰図を作る」,現地見学会「横浜・関内を歩く」,子供向け講座などを開催し,地図文化の普及に多大の貢献を果たした。
 公立の歴史博物館において,多面的な地図展示を行い,更に現代のデジタル地図を含めた展示とすることで,地図の意義を分かりやすく紹介した特別展の意義は高く評価される。このように,歴史博物館における地図展示の新たな視点を示した意義は高く,これらが評価された。