2022.10.18 第15回(令和3年度)

サンプルイメージ作品・出版賞

【受賞者】

齊藤忠光 会員(元(一財)日本地図センター)

【受賞理由】

齊藤会員は『地図とデータでみる都道府県と市町村の成り立ち』平凡社(2020)を著した。本書は著者が1990年代に「マーケッティングのための GIS 基盤データ「全国の大字町丁目界地図データベース」の企画開発に携わったことを契機に、我が国における現在の行政区画の成立過程に問題意識を持ち、退職後に大学院で本格的に「地域史」研究に取り組み、古代日本の国郡区域から始まる各時代の変遷事例を地図と統計データを分析した修士論文および本学会機関誌「地図」発表論文等を集大成し、いかに現在の日本の行政区画が成立したかの変遷過程を判り易く一般向けにまとめた著述である。本書の特徴は各時代の施策過程で作成された行基図、国絵図、国郡絵図、伊能図、明治期地籍図、大日本帝国全図等の地図が多数紹介・解説され地図専門家にとっても大変有益であり、今後、日本の人口減少等にともなう新しい日本の地方創生を考えるうえで広く国民にとっての参考文献として高く評価できる。