2023.10.31
第17回(令和5年度)
作品・出版賞
【作品・出版物】
日本水路協会(2023)『日本水路史百五十年』日本水路協会
【受賞者】
一般財団法人 日本水路協会
【受賞理由】
『日本水路史百五十年』は,兵部省海軍部水路局の設置から100年後の1971年に発足した(財団法人)日本水路協会が,当時水路100周年記念事業として刊行した『日本水路史』を基に,2021年までの150年間の水路測量,海図調製,海象観測などの水路業務・海洋情報の整備の変遷について,特に最近50年間の動向を重点的にとりまとめた総合的な記録である。 日本およびその近海水域における,水路局~海上保安庁海洋情報部による水路測量は,陸域における陸地測量部~国土地理院による基本測量の変遷と同様に,測深・測位技術の高度化,電子海図の刊行,世界測地系への移行,海底地殻変動観測,海洋汚染対策,領海・EEZや海域の呼称など国際的課題への取り組み,それらに対応する法令の改正や組織の改編など,最近50年年間だけで,その前の100年間にも匹敵する大きな変革のなかにある。 水路業務という国の基本的な施策について記録し,誰もが参照可能な形で未来に遺し次世代に引き継ぐことは近代国家の義務であり,高く評価できる。